千の葉さんのブログ

千の葉社労士合同事務所のブログ

男女間、正規・非正規間の賃金格差が過去最小に

◆女性の平均賃金が過去最高に

厚生労働省が発表した平成28年の「賃金構造基本統計調査」によると、フルタイムで働く女性の平均賃金は月額24万4600円(前年比1.1%増)となり、過去最高を記録したそうです。

一方、全体の平均賃金は30万4000円、男性の平均賃金は33万5200円で共に前年と横ばいでした。

また、男性の賃金を¥100%とした場合に女性は73%となり、男女間賃金格差は過去最小を更新しています。これは20年前(平成9年)よりも約10%縮まったことになります。

同省は、賃金格差の縮小は「管理職に占める女性の割合が過去最高の9.3%だったことにより、平均賃金を押し上げた」と分析しています。

昨年から女性活躍促進法が施行され、今後、企業は女性の採用や管理職への登用を積極的に進め、その格差はさらに縮まっていくことが予想されます。

◆雇用形態間賃金格差も過去最小

雇用形態別に平均賃金を見ると、正社員は32万1700円(前年比0.2%増)、非正規社員は21万1800円(同3.3%増)でした。

正社員を100%とした場合に非正規社員は65.8%となり、平成17年の調査開始以来、賃金の格差は最小となりましたが、これは人手不足などを背景とする女性の非正規社員の給与アップや最低賃金の上昇などにより格差が縮まったのが要因とされています。

また、短時間労働者の一時間当たり賃金は、男女計1,054円(前年比1.5%増)、男性1,134円(同0.1%増)、女性1,054円(同2.1%増)となっており、いずれも過去最高となっています。

◆「同一労働同一賃金」で賃金はどう変わるのか?

賃金の男女間の格差、正規・非正規間の格差は年々小さくなっています。その中でも男性の賃金の伸び止まりや女性の活躍推進が大きな問題となりそうです。

また、現在、政府で議論されている「同一労働同一賃金」の実現に向けた非正規社員の処遇改善についての動向にも注目しておく必要があります。

厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ

連続プラスが続く「パートタイマー時給」の最近の相場

◆関東4都県の募集時平均時給は1,000円を突破

パートタイマーの平成28年12月の平均時給は、関東4都県(東京、神奈川、埼玉、千葉で1,020円、東日本で1,000円でした(「アイデム人と仕事研究所」が3月3日に公表した集計結果による)。

職種別では、「専門・技術職」で前年同月比▲88円の1,203円となったほかは、「事務職」「販売・営業職」「フードサービス職」「運輸・通信・保安職」「製造・建設・労務職」「その他」いずれもプラス7~68円で増額しました。

伸び率が高かったのは、「運輸・通信・保安職」の前年同月比+68円の1,057円と、「フードサービス職」の同+12円の924円でした。

◆西日本の平均時給の伸びは東日本を上回る

関西3府県(大阪・京都・兵庫)は990円で前年同月比+9円、西日本は969円で同+16円と、いずれも関東4都県の+2円、東日本の▲8円を上回りました。

職種別では、東日本と同様、「専門・技術職」で前年同月比▲27円の1,267円となったほかは、いずれも9~44円増額しました。

伸び率が高かったのは「販売・営業職」の前年同月比+44円の893円、次いで「製造・建設・労務職」の同+37円の927円でした。この点は東日本と異なる結果です。

◆全体ではプラス傾向だが一部に▲100円超も

全体で、東日本は970円から1,000円、西日本は919円から969円と、プラス傾向が続いています。

ところが、「専門・技術職」は前年同月比で東京都区部や神奈川県は▲107円、京都府は▲200円と、兵庫県で+108円となった以外、いずれもマイナスです。

◆医療・介護・保育業界の人材確保に影響が?

この「専門・技術職」とは、看護師・准看護師、看護助手、薬剤師、歯科衛生士、歯科助手介護福祉士、介護ヘルパー(2級以上)、保育士などです。

いずれも人手不足が深刻な職種で、時給のマイナスによりさらなる悪化が懸念されます。

厚生労働省では、これらの職種における処遇改善に対する助成金も設けています。活用を検討してみてはいかがでしょうか。

職場定着支援助成金(個別企業助成コース)

厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金

配偶者控除「150万円以下」に

来年2018年1月から

・配偶者の年収上限「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げ(配偶者控除

・納税者の年収が1,220万円以下、かつ、配偶者の年収が150万円を超え201万円以下であれば一定の控除が受けられる。(現行の配偶者特別控除は、「納税者の年収1,000万円以下」、「配偶者の年収が103万円を超え141万円未満」の場合に控除が受けられるとなっている)

 

平成27年10月より始まった、社会保険適用拡大(被保険者数が500人超の企業)により、新たに「106万円の壁」という配偶者の就業制限が話題となりました。

これにより、

社会保険の被扶養要件・・・年収130万円未満 (60歳以上・障害者の場合は、年収180万円未満)

②税金の被扶養要件・・・年収103万円以下(特別配偶者控除は141万円未満)

に加え、

③短時間労働者の社会保険加入要件・・・年収106万円以上(他4要件を満たす場合のみ)

となり、扶養から外れるリスクから、契約時間を短くする、あるいは、逆に契約時間を長くして扶養は外れるけど、減額分をカバーできるだけの収入を得られるようにするなどの施策が試みられてきました。

今回の改正は、この契約時間を長くした分、税制面で損をするということにならないようにという趣旨から行われたものだとは理解することはできます。

 

しかし、ここで注意しなければならないことがございまして、将来の年金額が減るリスクがあることもアナウンスしておかなければなりません。

厚生年金の加入期間が20年以上あって、(定額部分または基礎年金の支給開始日以降に)65歳未満の配偶者がいる場合に支給される加給年金というものがございます。額は、特別加算を含めると年額390,100円(月額32,508円)です。

これが、もし、今回の社会保険適用拡大で、妻(配偶者)が厚生年金(あるいは共済年金)に通算して20年以上加入することになった場合は、出なくなります。

もちろん、それを上回る金額を稼げればいいとは思いますが、例えば、時給1,000円で月120時間の条件で、20年間変わらず働いたとすると報酬比例の年額は約16万円(月額1万3千円)ほどです。(基礎年金は受給資格期間を満たしていれば、保険料の支払済期間に応じて別途出ます。)

もし、これが19年何か月かで辞めておけば、65歳までの間、それプラス39万円もらえたかもしれなかったと考えると、結構考えると思います。

そのとき(年金を受給されるとき)になってからでは遅いですので、今、ご自分がどれだけの期間、厚生年金あるいは共済年金に加入しているか、今一度ご確認されることをおすすめいたします。